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日本本社が求める月次報告書とタイの月次レポート — その違いと、よくある調整

日本本社が期待する月次報告と、タイの会計実務から出てくる月次レポートは、目的も様式も異なります。日本で一般的な月次報告書、タイで一般的に出てくる月次レポート、そして両者をつなぐためによく行われる調整を、在タイ実務の目線で解説します。

はじめに — 「同じ月次」でも、見ているものが違う

タイ現地法人の月次は、毎月そろえているはずなのに「日本本社が見たい数字になっていない」という声をよく聞きます。原因はシンプルで、日本本社が求める月次報告書と、タイの会計実務から自然に出てくる月次レポートは、そもそも目的が違うからです。

  • 日本本社が見たいのは、経営判断のための 管理会計 寄りの報告
  • タイの現地経理から出てくるのは、税務・法定対応 を主目的としたレポート

この記事では、(1) 日本で一般的に求められる月次報告書、(2) タイで一般的に出てくる月次レポート、(3) 両者をつなぐためによく行われる調整、の3点を整理します。

1. 日本で一般的に求められる月次報告書

日本本社(や日本の経理慣行)が現地法人に期待する月次報告は、「経営の意思決定に使える」管理会計が中心です。代表的には次のようなものです。

  • 月次試算表(残高試算表):勘定科目ごとの残高一覧。すべての基礎。
  • 月次P/L・B/S:当月の損益計算書・貸借対照表。発生主義で、当月に帰属する費用・収益が正しく計上されている前提。
  • 部門別/製品別/拠点別の損益:どの事業・店舗・案件が儲かっているかを分解した管理会計。
  • 予算実績対比(予実):予算に対する達成度と差異分析。コメント(なぜ差異が出たか)付き。
  • 前年同月比・前月比:トレンドの把握。
  • 資金繰り表(キャッシュフロー見通し):入出金の予実と先行き。
  • KPI・補足コメント:受注残、人員、在庫回転などの非財務指標と、経理担当のひとことコメント。

ポイントは、様式が「本社のフォーマット(連結パッケージ)」に合っていること、そして日本語で、コメント付きで届くことが期待されている点です。単なる数字の束ではなく「読んで判断できる報告書」が求められます。

2. タイで一般的に出てくる月次レポート

一方、タイの現地経理(社内経理や記帳代行)から月次で出てくるものは、税務申告と法定対応を主目的としたアウトプットが中心です。会計基準は中小企業向けの TFRS for NPAEs が一般的で、言語はタイ語(または英語)です。

  • Trial Balance(試算表)/General Ledger(総勘定元帳):会計ソフト(PEAK・FlowAccount・Express 等)から出力。
  • 月次の財務諸表(P/L・B/S):作成はされるものの、様式はタイ基準・税務目的寄り。
  • 税務関連の提出書類
    • PP30(VAT 申告)
    • PND1(給与の源泉所得税)/PND3・PND53(支払時の源泉徴収)
    • PND50・PND51(年次・中間の法人税。月次ではないが年間スケジュールに影響)
    • SSO(社会保険) の月次申告・納付
  • WHT(源泉徴収)関連の台帳:源泉徴収票(50 ทวิ)の発行・受領記録。

つまりタイ側のレポートは、「歳入局・社会保険事務所に正しく提出するため」に最適化されています。部門別損益・予実対比・KPI といった管理会計は、依頼しなければ標準では出てこないことが多く、ここに本社との期待ギャップが生まれます。

3. 両者をつなぐために、よく行われる調整

日本本社向けの月次報告に仕上げるには、タイの月次レポートに対して次のような調整(組み替え)を行います。これが現地経理サポートの腕の見せどころです。

3-1. 勘定科目のマッピング

タイの勘定科目体系(CoA)を、日本本社の科目体系・連結パッケージにマッピングします。科目名・粒度・分類が違うため、対応表を作って毎月同じルールで組み替えます。

3-2. 発生主義への組み替え・期間帰属の調整

税務都合で計上タイミングがずれている項目を、当月に正しく帰属させます。代表例:

  • 未払費用・前払費用の計上
  • 賞与引当・各種引当金
  • 減価償却の方針差(耐用年数・方法)の調整

3-3. 税金科目の整理(VAT・WHT)

VAT(仮払/仮受)や WHT を、本社が見やすいように税金科目として整理します。売上・費用が税抜で正しく表示されるよう調整します。

3-4. 為替換算(THB → JPY)

本社報告・連結のために THB を JPY に換算します。換算レート(期中平均・期末)の方針を決め、為替差損益を区分します。

3-5. 管理会計の付加

タイ側にない部門別・製品別・拠点別の損益、予実対比、KPIを別途作成します。POS・販売管理データと会計を突合して、本社が「判断できる」粒度に落とし込みます。

3-6. 会計基準差の調整(TFRS ⇄ J-GAAP/IFRS)

リース、収益認識、引当などで基準差がある場合、連結方針に合わせて差異を調整します。

3-7. フォーマット・言語・タイミングの変換

最後に、本社フォーマットへ整形し、日本語化+コメント付与。さらにタイの月次は確定が遅れがちなので、月次クローズの早期化(締めの前倒し)もセットで設計します。

まとめ — 「タイの月次」を「本社の月次」へ翻訳する

タイの月次レポートは、そのままでは本社の意思決定には使いにくいのが実情です。重要なのは、毎月同じルールで「タイ基準・税務目的」→「日本本社・管理会計目的」へ翻訳する仕組みを作ること。マッピング表・調整ルール・報告フォーマットを固定できれば、月次は速く・正確に・本社が読める形で回ります。

MIRAI BizLab のサポート

私たちは、タイ現地法人の月次を本社が使える報告書に仕上げるところまでを実務で支援しています。

  • タイ CoA と本社科目体系のマッピング設計
  • 発生主義・引当・為替換算などの月次調整ルールの整備
  • 部門別損益・予実・KPI など管理会計レポートの追加
  • 日本語・英語の本社向けフォーマット整備と月次クローズの早期化
  • クラウド会計(PEAK 等)を使った月次の効率化

「タイから上がってくる数字が本社の見たい形になっていない」――そんなお悩みは、仕組みで解決できます。詳しくは 会計・税務 もご覧ください。

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現在の月次レポートと本社が求める報告のギャップをお聞かせいただければ、必要な調整と仕組み化の道筋を具体的にご提案します。お問い合わせ からお気軽にご相談ください。


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